もくじ
四十一帖 幻(まぼろし)
年が明けたが源氏の悲しみは癒えず、蛍の宮以外とは会おうともしない。
やがて夏が来て、秋が来たが、源氏は親しい女性たちと紫の上の思い出を語らい涙するだけだった。
冬、源氏は出家を決意し、紫の上と交わした文を焼き、紫の上の死後、初めて人前に姿を表した。源氏は自分の人生が終わったことを悟る。
雲隠(くもがくれ)
いつからか幻の帖として、巻名だけが残されている帖。
光源氏亡き後の物語がスタート
四十二帖 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)
源氏の死後、源氏に並び立つ人物は出てこなかったが、今上帝の三の宮、匂の宮と、女三の宮の息子、薫が美しく成長し、評判を呼んでいた。
薫は皆に愛されていたが、己の出自を疑い悩んでいた。
薫は生まれつき何とも言えない芳香を身にまとっていた。匂の宮はそれに対抗し、薫物に趣向を凝らしていた。世間の評判はふたりに集中したが、薫は厭世の思いが強く、特定の女性をつくらずにいた。
四十三帖 紅梅(こうばい)
柏木の弟、按察大納言は亡くなった妻との間にふたりの姫君をもうけていた。今は故蛍の宮の正妻であった真木柱を妻にしており、真木柱には宮の御方という連れ子がいた。大納言は長女を東宮に入内させ、次女を匂の宮に嫁がせようと考える。一方匂の宮は宮の御方に懸想していた。真木柱は匂の宮の好色からふたりの関係を躊躇する。
四十四帖 竹河(たけかわ)
玉鬘は髭黒と三男と二女を成していたが、髭黒亡き後、娘たちの将来について苦慮していた。娘たちは、帝、冷泉院、夕霧の息子(蔵人の少将)から求婚されている。冷泉院の意向に背く結果となった自身の責もあり、大君は冷泉院のもとにと玉鬘は考える。
桜の花の盛りに、蔵人の少将は大君を垣間見て、思慕を募らせる。大君は冷泉院に嫁ぎ、やがて女児を出産する。
明石の中宮、帝との確執を怖れ、玉鬘は中君を尚侍として入内させる。その後大君は男子を出産する。
年が明け、夕霧は左大臣に、薫は中納言に昇進。それを見て玉鬘は我が子たちの不運を嘆く。
四十五帖 橋姫(はしひめ)
そのころ世間から忘れられた古宮(八の宮)がいた。源氏の弟にあたるが、冷泉院が東宮のころ政変に巻き込まれ、源氏の政界復帰に伴って見捨てられた存在となっていた。さらに北の方にも先立たれ、京の邸も焼失し、宇治でふたりの娘を育てながら、聖のような生活を送っていた。宮のことを聞いた薫は、宮と交際をはじめ、次第にその高潔な人柄に惹かれていく。
薫が宇治に通い始めて三年目の秋、たまたま有明の月の下で姫君たちを垣間見、歌を読み交わす。その際、応対した老女房(弁)は自分が柏木の乳母子であると告げ、再会を約束する。
八の宮は信頼する薫に姫君たちの後事を託し、薫は応諾する。その明け方、薫は弁から自分の出生の秘密を知る。薫は驚き女三の宮に真実を聞こうとするが、無心に経を読む女三の宮を見て、打ち明けることも叶わず、苦悩を深める。