もくじ
三十六帖 柏木(かしわぎ)
柏木は死を予感し、小侍従に女三の宮への手紙を託す。
その晩、女三の宮は産気づき、男子(薫)を出産する。源氏の冷淡な態度に怯え、女三の宮は密かに下山していた父、朱雀院によって受戒し出家する。
女三の宮の出家を知った柏木は重体に陥る。見舞いに訪れた夕霧に源氏へのとりなしと落葉の宮の行く末を託した後、柏木はこの世を去った。
三月、実の父そっくりの薫と尼姿の女三の宮を前にして源氏の胸中は複雑だった。
夕霧は落葉の宮をたびたび見舞い、ほのかな恋心を文に託す。
三十七帖 横笛(よこぶえ)
柏木の一周忌が巡ってきた。源氏や夕霧の厚意に事情を知らない柏木の父、致仕の大臣は、感激しつつ悲しみを新たにする。源氏は日に日に成長する薫の姿に自身の老いを感じる。
秋、落葉の宮を見舞った夕霧は柏木が愛した横笛を贈られる。その晩、夕霧の枕に柏木が立ち、その笛は別の人に贈りたいと語る。
笛の処置に困った夕霧は六条院を訪れる。薫を見た夕霧はその面影に柏木を感じ、源氏に柏木の遺言を質した。
三十八帖 鈴虫(すずむし)
翌夏、女三の宮の持仏開眼の供養が、源氏、紫の上の協力のもと営まれる。女三の宮はなお自分に執心する源氏の態度に困惑する。
八月十五日、源氏は女三の宮を訪ね歌や琴で遊ぶ。夕霧たちも訪れ管弦を愛でていたころに、冷泉院から宴への招待があり、皆で参上した。
三十九帖 夕霧(ゆうぎり)
落葉の宮の母、一条御息所は病気平癒のため娘とともに小野山荘に移った。御息所の見舞いと称して山荘を訪れた夕霧は応対に出た落葉の宮に言い寄り、半ば強引に側で一夜を過ごす。
そのことを聞いた御息所は夕霧へ文を送るが、文を見つけた雲居雁がこれを奪い隠す。返事も訪れもないことに落胆した御息所は、失意のまま亡くなる。
夕霧は御息所の葬儀を仕切り、母を亡くし呆然とする落葉の宮になおも言い寄り続ける。頑なに拒む落葉の宮だが、遂に夕霧と関係を結ぶ。
その後、夕霧は妻たちとの間に多くの子を成した。
紫の上死す
四十帖 御法(みのり)
紫の上は数年来体調が思わしくなく出家を望むが、源氏は決して許さない。
三月、紫の上は二条院で自身の発願による法華経千部の供養を盛大に催す。紫の上は自身の死が近いことを悟り、近親者と別れを交わす。
秋、紫の上は、源氏、明石の中宮に看取られこの世を去る。多くの人が弔問に訪れる中、源氏がただただ悲嘆に暮れた。